羽矢美さんの縁結び / 著:深川拓 / 絵:美弥月いつか / 一迅社文庫

羽矢美さんの縁結び (一迅社文庫 ふ 1-1)

羽矢美さんの縁結び (一迅社文庫 ふ 1-1)


創刊7ヶ月目の新刊3冊。その中の2/3。
雑誌掲載の短編小説や、PCゲームのノベライズを中心に活動していた著者による、オリジナル作品のデビュー作。


自分の恋路よりも、他人の縁結びに傾倒するヒロインと、それに振り回される主人公の話。
個人的に羽矢美というキャラは個人的な嗜好に合わず本当に大っ嫌いでしたが、それでも作品としては悪くなかった。
作中で炸裂する、とある仕掛けによるカタルシスは割と心地よい。この1点だけでも読む価値はあるかな。
ただそこ以外では、まとまってる以外の長所には欠ける面があるのは確か。
もうちょっと恋愛部分で踏み込んで欲しかったし、描写面で甘いところが散見されたりするし、一発ネタでのインパクト勝負な作品ですね。
この作品を読む時には、書評とか評判とかを見ずに、予備知識無しで読んだ方がいいと思います。





蛇足の追記。
人によっては気分が悪くなるかもしれないので、この作品及び登場人物に愛着がある人、否定的意見が嫌いな人は読まないでくださいな。
すげー個人的な嗜好の問題だけど、上でも言ってるように、私は羽矢美というキャラが嫌いです。
こういう当事者の同意を得ようとせず、独善的に「本人達に取って良い事」を押し付けるキャラは大っ嫌いです。
当事者達にとって良い結末を迎えようが、自己中なお節介女郎という印象しか受けません。
挙句の果てに、その行いが元になって逆恨みを受けた時に、逆に説教をし返す様を見るに至っては呆れました。
確かにそれは逆恨みだけど、コイツ(羽矢美さん)は何を逆ギレしてんだよ、と。
逆恨みの末の暴力は確かにいけないことだから、暴力に対してやり返すまではいいと思うよ。
でも他人に説教して、他人の怒りを全否定するのは間違ってるだろ。それとコレとは話が別だろ。
当事者じゃない人間の介入で、人間関係を掻き乱されたら、そりゃいい気分しないだろ。何を無制限に自分の行為を正当化してるんだよ。
色んな人の思いとか運命とかを、「自分の勘」なんていう曖昧なもので、自己満足のために恣意的に捻じ曲げたんだから、非難くらい甘んじて受けろよ。
一言で言うと「ふざけんな、ビッチ」です。
私はこの作品自体は嫌いじゃないです。出来も一定以上の出来だと思ってます。でもこのキャラだけは本当に嫌いです。