ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。 / 著:朱門優 / 絵:鍋島テツヒロ / 一迅社文庫


一迅社文庫デビューラインナップ7作品その4。
エロゲライターによる小説デビュー作。


町に伝わる「お見合い」という風習をすることになった幼馴染の男女のお話。
うーん、割とイイ線いってる面があるだけに、実に惜しい作品でした。
幼馴染同士の二人の関係性と「なくしてしまったもの」を軸に、緩やかな空気の雰囲気がいい。
そして、幼馴染や謎の少女アネモイの会話の掛け合いもテンポ良く進むので、割と楽しく読める(この辺の言葉のキャッチボールはエロゲライター出身らしさを感じる)
そんな感じで全体的に「読める」出来にはなっているものの、物語のキーである「お見合い」の辺りに癖がある
「お見合い」の意味とか、それに主人公を誘ったヒロインの真意とか、その辺が明かされるまでの話の持っていき方がどうも上手くない。
私の理解力が低いのか、全てが明らかになる段階でも「お見合いがどういうものか?」を理解するまでに、ちょっと咀嚼する必要があった。感覚的に頭に入ってくるようだと、もっと素直に楽しめたんだろうけどね。
好きか嫌いかでいえば、わりかし好きな雰囲気だっただけに、ちょっと勿体無いなぁと思ってしまう作品でしたとさ。