零と羊飼い / 著:西川真音 監修:株式会社工画堂スタジオ / 絵:しろ / 一迅社文庫

零と羊飼い (一迅社文庫)

零と羊飼い (一迅社文庫)


一迅社文庫デビューラインナップ7作品その3。
工画堂スタジオシナリオライターによる小説デビュー作。工画堂スタジオが監修に関わってるのが意外と思ったら、工画堂スタジオの出したゲームの改訂版ノベライズって感じなのね。


不思議な力を持っている少年・少女を隕石に打ち込むという計画を前に、少年・少女が苦悩し駆け引きをする話。
文字通り「犠牲の羊」を決めるため、候補者の少年・少女が駆け引きをする。
「死」の計画を前に、生に執着したり、誰かのために命を賭けることを決意したりする極限状態の感情と生存競争を描く……と思っていたら素直な方向には進まずフラフラしたあげく、最後で一転。というか物語がバグる
突如として、一変する構成、誰の視点かがぼやける眩暈感、そして「どこまでが現実に起こったことか」分からなくなる結末。
こういう「最後のどんでん返し」というタイプの作品は結構あるけど、この作品に関してはその手法は上手く言ってるとは言い難いかなぁ。ラストの部分は「やられた」というよりは「やっちまった」という印象が強い。
もうちょっと伏線貼るとか、色々とやりようがあったと思う。
そんな感じで、ちょっと乱暴な一捻りを加えた「最後で文章・構成がバグる物語」なので、賛否が分かれる作品……というか、否が強いだろう作品。人様に薦められるタイプの作品では無いかなぁ。