ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。 / 著:古戸マチコ / 絵:カズアキ / 一迅社文庫アイリス

ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。 (一迅社文庫アイリス こ 3-1)

ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。 (一迅社文庫アイリス こ 3-1)


一迅社文庫アイリスの創刊4ヶ月目は2作品。感想その2/2。
これが著作2作目(?)の作者による、一迅社文庫アイリスデビュー作。
この月発刊のアイリスの作者名が、漢字+カタカナなのは何か意味あるのだろうか(無い無い)


魔女に身体と心を入れ替えられた少女が、奇妙な街で、身体を元に戻すために奔走する話。
意外とまとまった作品でした。
ウジウジした少女が、奇妙な街での生活や淡い思慕を通して、成長する姿が落ち着いた筆致で描かれている。
エピローグでの物語の落とし方も含めて、よく制御されてストーリーを綴っており、内面やダンスシーンの描写などいい意味で「新人らしからぬ」といったところ。
私の好みとは違ったけど、アホの子の猫男も、アホの子としてはそれなりに可愛いかもね。
個人的には、主人公が地の文での「意味がわからない」というツッコミが妙にツボった。ツッコミ入れるタイミングが素敵。
そんなこんなで完成度が高い作品ではあるものの、私個人としては「魔女」の思惑や言動や行動が鼻についてしまい、ちょっと入りきれなかったかなぁ。
少女の成長物語としての「少女小説」が、嫌いじゃなければ読んでみてもいいんじゃないかなぁ。比較的男でも読みやすい少女小説だとは想う。