蟲と眼球とテディベア (MF文庫J)

蟲と眼球とテディベア (MF文庫J)


日日日による新人賞ラッシュのトリをつとめる作品。


新味は薄いけど、普通に面白かった
やっぱりこの人の、新人離れした既存の素材を取捨選択して纏め上げる力量にかけては舌を巻く。
既存の優れた(売れる・時代にあった)素材を用いて、既存の手法を踏襲して上手に仕上げている。
単品として見てもそれなりにまとまっているし、完成度に関しては素直に誉めていいと思う。
よく「●●に似てる」とかそういう類のイチャモンを付けられるけど、別にそこまで叩くほどのものでもあるまいに。


しかし、「眼球抉子」で「グリコ」って言うネーミングセンスは中々イカスと思った。
西尾以後、こういう命名感覚の作品が増えたような気がするけど、やっぱりこの作者ってパイオニアにはなれないけど、その開かれた道を進む優秀な後発組ではあるんだよな。
まあ、この水準の作品を一定のペースで刊行してくれれば、「確実に買う作家」にカウントしてもいいかな、と思う。
今のところ5作品出して、ハズレは無かったし、この安定感は高く評価


ただ、今作に関しては林檎がらみの「死」や「寿命」の設定にあやふやな部分があって、ちょっと疑問の残るところではありますが。
それでも、愛情と友情・好きな人と親友とかの雰囲気は良かったし、単品としては充分に面白かったですけどね。