ここ最近はラノツイは「Web小説の書籍化」限定で、好きラノは「その他通常ライトノベル」限定の棲み分けでやっています。
よってこの枠だとWeb小説からの書籍化作品は除いてあります。
今回は既存・新規の縛りが無くなっているように見えますので、新規・既存の切り分けは任意で行っています。そのため、以前までは新規・既存で4・6、5・5、6・4にしてたのが今回は新規が多いです。
なお、
・評価が定まった長期作品は敬遠する傾向にあります(男性読者に認知度が低い少女小説分野は除く)
・万人に取って面白いであろう作品よりも、癖があって他人に薦めづらいけど僕は好き、と言う作品に入れたがる悪癖があります。
・他人と被らないようなマイナー作品に入れて、自分だけだった時に暗い喜びを感じる悪癖があります。
・「最近読んだから記憶が鮮明」補正がかなりあります。
以上のような条件を承知の上でお願いします。
新規部門
■小説の神様 / 相沢沙呼 / 講談社タイガ
【16上期ラノベ投票/9784062940344】作家・相沢沙呼を徹底的に解剖して再構築したような、胸を貫く鮮烈な一作。
- 作者: 相沢沙呼
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/06/21
- メディア: 文庫
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個人的に、相沢沙呼という作家の作品はデビュー以来全て読んできた。
彼の作家がツイッターで吐き出す嘆きと絶望と焦燥を、他者の言葉に傷つく姿見てきた。
そんな繊細な作家が、まさに「生」の「作家としての自分」を徹底的に晒して剥き出しにしたのがこの作品だ。
なんでこんな作品を書くことが出来たのだろうか。
ここまで作家としてのアイデンティティを込めて書くことは怖くなかったのだろうか。
こんな作品を否定されたら、売れなかったら、文字通り自身を否定されることと同義ではないだろうか。
当人じゃない僕でも、そんな想像をするだけで胸が苦しくなる。
こんなのは小説以前の問題だ、壮大な自傷行為ですらある。
作者はマゾなんだろうか、そんなことすら疑いたくなる。
ああ、もう、でもそんな「相沢沙呼」という作家の素顔を焼き付けたこの作品は、最高だ。
チクショウめ、僕は、この小説が、大好きだ。
■ストライクフォール / 長谷敏司 / ガガガ文庫
【16上期ラノベ投票/9784094516142】SFロボットスポコン風タッチ。
- 作者: 長谷敏司
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2016/06/17
- メディア: 文庫
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盛大なプロローグのような1冊だったが、この巻の内容は抜けない棘のように読者の胸に突き刺さるのであろう。
この疼きが、これからどのようなものになっているのか、僕はこの物語の行く末を見ていきたい。
■キミもまた、偽恋だとしても。(1)<上> / 渡辺恒彦 / オーバーラップ文庫
【16上期ラノベ投票/9784865541069】超能力も、異能も、超常現象も、SF要素も、ファンタジー要素も、そういうものが出てこない純粋なラブコメディ。キミもまた、偽恋だとしても。1〈上〉 (オーバーラップ文庫)
- 作者: 渡辺恒彦,wingheart
- 出版社/メーカー: オーバーラップ
- 発売日: 2016/05/24
- メディア: 文庫
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主人公とヒロインの、お互いに対して強烈な恋愛感情がある訳じゃないんだけど、分かり易い下心とちょっとした打算と前向きな好意で付き合い始める自然な感じが、ライトノベルにあるからこその独特な味わいになっている。
恋愛に対する免疫に乏しいながらもけどチョロイン過ぎもしないヒロインとの恋愛関係と距離感が絶妙。
そして、全てカミングアウトすればすべてが上手くいきそうなお互いの「隠し事」が、本人達的には真剣なんだろうけど明るく滑稽で、楽しい。
下巻で上手くまとまりそうな感じだし、下巻にも期待したい。
■うーちゃんの小箱 / 和見俊樹 / 角川スニーカー文庫
【16上期ラノベ投票/9784041040515】新人賞受賞作らしい、荒く、未熟で、だけど文章に込められた劣等感などの感情が不思議と僕の琴線に響く作品だった。
- 作者: 和見俊樹,アルデヒド
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2016/01/30
- メディア: 文庫
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単巻作品としてのまとまりはあまり良くないし、雑なところもあるし、ヒロインなどの女の子の行動に疑問に思う面もあったし、恋愛感情とかも分かり易いものじゃなかったし、正直万人には薦めづらい。
ただ、文章に込められたヒリヒリするような書き味は独特のものがあったし、これは上手く使えば面白くなりそうだよなぁ、と言う期待を持って投票したい。
まあ、上でも少し書いたけど、欠点は多いし他人には薦め辛いけど僕は好きだから応援はしたい、ってことですね。
■委員会のあの子 / 水澤なな / ビーズログ文庫アリス
【16上期ラノベ投票/9784047309104】Pixivのイラストシリーズをノベライズした、という珍しい形のノベライズ。
- 作者: 水澤なな,七都サマコ,(原案)七都サマコ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2016/02/15
- メディア: 文庫
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「後輩の年下彼氏」「可愛らしい先輩彼女」というシチュエーションが最大限生かされてる。
一つ一つは小粒なエピソードも多いし、ストーリーは大したものじゃないんだけど、そのエピソードに登場する人物達がいちいち可愛いんだわ。
早く先に進んでしまう先輩彼女に対する、後輩男子の寂しさと「置いて行かれる」という感情、って言うシチュ最高ですよね。
読み易くて、とにかく愛おしい一冊。
■俺を好きなのはお前だけかよ / 駱駝 / 電撃文庫
■俺を好きなのはお前だけかよ(2) / 駱駝 / 電撃文庫
【16上期ラノベ投票/9784048657471】
- 作者: 駱駝,ブリキ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2016/02/10
- メディア: 文庫
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- 作者: 駱駝,ブリキ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2016/04/09
- メディア: 文庫
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ライトノベル風ラブコメをメタったラブコメ。
テンポのいい会話とポップなキャラクターの裏に腹黒さと策略が蠢いていながら、それでいてまっすぐな「救い」がある、そんな作品だった。
好きな人、好きでいてくれる人、大切なもの、大切にしたいこと、そういう構図が明快なので芯がしっかりしている。
人生ままならねーなぁ、という1作。
■オタサーの姫と恋ができるわけがない。 / 佐倉唄 / 富士見ファンタジア文庫
【16上期ラノベ投票/9784040709468】地元枠。
- 作者: 佐倉唄,あゆま紗由
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/富士見書房
- 発売日: 2016/05/20
- メディア: 文庫
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ライトノベルにおいて、ここまで「仙台」という舞台が強調された作品は他になかった気がする。
「仙台コミケ」だの「仙台駅のステンドグラス」だの、仙台ローカル線の名前とか、いちいち刺さるわぁ。
舞台の学校のモデルは東北学院だよなぁ、ということが普通に分かってしまうようにローカルで楽しい。
作品としては、やや尻切れ気味な終わり方をしてしまって、2巻以降出ないと辛いけど、地元民として応援したい。
既存部門
■りゅうおうのおしごと!(2) / 白鳥士郎 / GA文庫
■りゅうおうのおしごと!(3) / 白鳥士郎 / GA文庫
【16上期ラノベ投票/9784797388176】
- 作者: 白鳥士郎,しらび
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2016/01/14
- メディア: 文庫
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- 作者: 白鳥士郎,しらび
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2016/05/13
- メディア: 文庫
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やっぱり来ると思っていた「研究生の昇格」話。
奨励会員ではなく、女流の話なのがちょっと珍しいかもしれない。
やはりこのテーマは将棋作品における鉄板テーマだなぁ。
才能と性差、というのは非情である。でも、だからこそ、手を伸ばすのだ。
■おこぼれ姫と円卓の騎士 再起の大地 / 石田リンネ / ビーズログ文庫
■おこぼれ姫と円卓の騎士 王女の休日 / 石田リンネ / ビーズログ文庫
【16上期ラノベ投票/9784047308435】
- 作者: 石田リンネ,起家一子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2016/01/15
- メディア: 文庫
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- 作者: 石田リンネ,起家一子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2016/06/15
- メディア: 文庫
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レティの甘さと情が肯定される回。
■スクールライブ・オンライン(7) ラストマン・スタンディング(前) / 木野裕喜 / このライトノベルがすごい!文庫
■スクールライブ・オンライン(8) ラストマン・スタンディング(後) / 木野裕喜 / このライトノベルがすごい!文庫
【16上期ラノベ投票/9784800250117】
スクールライブ・オンライン 7 ラストマン・スタンディング(前) (このライトノベルがすごい!文庫)
- 作者: 木野裕喜,hatsuko
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2016/01/09
- メディア: 文庫
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スクールライブ・オンライン 8 ラストマン・スタンディング(後) (このライトノベルがすごい! 文庫)
- 作者: 木野裕喜,hatsuko
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2016/03/10
- メディア: 文庫
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今回の完結記念枠。
色々と迷った末、10作品目が決まらなかったのでトップ10に入るほど面白かったかというと首を捻るところだけど完結枠としてこの作品をチョイス。
主人公にイライラしたり、展開にもどかしいところやストレスふな展開も多かったし、無理な設定やキャラ変も結構あったけど、もう「勢いの勝利」って感じで最後は突き抜けたね、という感じだった。
色々とまとめすぎなくらいの大団円。
「ラブコメ」パートのまとめ方が意外に上手かったのを好評価。
次回作品にも期待します。お疲れ様でした。