小林めぐみさんのミステリー文庫新作。
食卓にビールを」はSF短編集だったので、小林作品でレーベル名のようにミステリっぽい作品では初めてか。


宇宙人が沢山出てくる刑事ドラマ風小説って感じ。
「事件が起きて、犯人を捜せばミステリ」という定義の元での「ミステリ」なので、いわゆる「本格」タイプのミステリではないですね。
ESPも出てくるし、種族によって異なる価値観・慣習などが次々出てくるので、論理的に推理するのは無理ですし。
主人公たちが手掛かりを得て、真相に追いついていくのを見て楽しむというタイプの、刑事ドラマを見る容量で楽しむ小説。
まあ、小林さんらしいコミカルさや軽妙なやり取りのおかげで、実にとっつき易く出来てますね。
このいい意味での「軽さ」は誉めてもいいと思います。
ただ、単品として見てまとまった出来であることは確かだけど、そんなに面白い作品という訳では無かったですけどね。
つまらない訳じゃないけど、特に続編が読みたい思わなかったし、「面白かった」という満足感も無かったかな。


最後に気になった点を一つ。
ツアオとラッセルのUE協会の二人が出てくるシーンを出すのは早すぎた気がする。
UE協会の説明が出てから出した後に入れればいいのに、あのタイミングで入れられたせいで、よく会話の意味が分からず消化不良になってしまったと思う。
人種差別してるのは分かったんだけど、予備知識無しで唐突に出てきたせいで二人の人物の印象が乏しくなってしまったし。
個人的にこの構成は好きじゃなかった。