アスラクライン (電撃文庫)

アスラクライン (電撃文庫)


三雲さんの新シリーズ。
シリーズ乱発しすぎじゃないですか。三雲さん。
せめてコールド・ゲヘナランブルフィッシュ位完結させて欲しいのですが。
後者はレーベルが違うからまだしも、前者はいつ完結するのだろうか……


幽霊ものの学園コメディかと思いきや全然違った。現代を舞台としたちょっぴりSF風スチームパンクと言ったところか。
「現代を舞台としたスチームパンク」というのもある種矛盾した言葉ですが。
話自体は、「幽霊」が憑いてる以外は平凡な主人公に突然訪れる転機、という割とよくある題材。
ただし、それを描く三雲さんの力量を再確認する思いだった。
平凡な日常に突如舞い込む謎と奇怪な出来事、それが解き明かされるに従って日常を侵食する非日常、その中で少年が一歩踏み出し反撃に至るまでの流れが、堅実に描かれている。
まあ、序盤は少し退屈だったけど、流れに乗ってからは普通に楽しかった。
謎が明らかになってから、「選択」に至るまでのドライブ感は中々快感。
シリーズの第一巻としては実に隙の無い作りだった


「レベリオン」の時もそうだったけど、安定した上手い入り方だなぁ。
1冊という尺の中での、キャラの立て方や山場への盛り上げ方など、やっぱりこの人は上手い。
長期シリーズになると途中でグダグダになったり、最後が尻すぼみになったりするんですがね……(苦笑)
しかし、個人的にイラストが結構微妙だった。
三雲さんは筆力も高いし、多作な作家だけど、売り上げ的に中堅どこって感じだしなぁ。
このイラストじゃ売れ行きが出ないんじゃないか心配だ(余計な心配