幽霊列車とこんぺい糖 メモリー・オブ・リガヤ / 著:木ノ歌詠 / 絵:尾崎弘宣 / 富士見ミステリー文庫

幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫)

幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫)


木ノ歌詠さんの新作。一冊読み切り。


列車で自殺しようと思った少女が廃線を前に途方にくれてるところ、リガヤを名乗る少女と出会うところから始まる物語。
心に疵を負った(もしくは閉塞状況に置かれた)少女×少女のお話で、実に良いネガティブ系青春小説の快作。
どこか桜庭一樹が書きそうな作品で、雰囲気的には同レーベルの「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」に近いかな。ただ「砂糖菓子〜」より鬱度は低目で、百合度は高め。
幽霊列車、こんぺい糖、焼き釜などのガジェットの使い方が上手いのが印象的。要所要所で効果的に使って、物語を盛り立ててある。
この構成の上手さと、作中に漂う強烈な夏の空気感―――それを表現するイラストの鮮やかさが素敵な一冊。