葬月記 / 著:和泉桂 / 絵:倉花千夏 / 一迅社文庫アイリス

葬月記 (一迅社文庫アイリス い 1-1)

葬月記 (一迅社文庫アイリス い 1-1)


一迅社文庫アイリスの創刊ラインナップ7作品。感想その5/7。
BL小説で知名度のある作者と、元Nitro+CHiRAL原画家として有名な倉花千夏のコンビによる作品。


大国の後継者問題絡みで沙術士(砂を操る術士)を連れ帰るように命じられた武官と女官が、そこで出会った銀髪の沙術士に、願いを叶える代償に自身を殺すことを要求される話。
中華風の世界を舞台にしたファンタジー。出来は悪くない。
最初の印象とは異なる子供っぽいサイリが何気に可愛い。わがままや口論までが何故か微笑ましい。
そして、沙術士・サイリ、武官・真雷、女官・莉莉の奇妙な友情関係が好感が持てる。
後継者問題とか暗殺とか、物騒なキーワードが出てくるものの、ハードな描写は少なく、良くも悪くもライトに読める。
ただ、トントン拍子で後継者問題に決着が付くのは少し物足りなさは感じるかな。後味は悪くなく、手軽に読めるので、そこら辺は一長一短で好みの問題だとは思うけどね。


ただ、作中で散々引っ張った莉莉の秘密が最初からバレバレなのが何とも。
元々隠そうという気が無いんだろうけど、かなり脱力感
ここまでバレバレだと逆にフェイントを仕込むくらいしてほしいんだけどなぁ……
好意的に見れば、秘密自体バレルのは前提で「どんな秘密か?」じゃなくて「何故秘密にしていたのか?」を色々想像させようという方針なのかもしれないけどね。
ミステリ敵に言えば「ホワイダニット(何故それをしたのか?)」。
……ここまで書いてきたけど、さすがにコレは穿ち過ぎかなぁ。