さよならピアノソナタ / 著:杉井光 / 絵:植田亮 / 電撃文庫

さよならピアノソナタ (電撃文庫)

さよならピアノソナタ (電撃文庫)


杉井光さんの新作。
ラノサイ杯では、ここ数回連続で杉井作品に投票してます。何気にファンなのか私は。
火目の巫女」「神様のメモ帳」で、胸を突き刺すような痛みと、その中にある微かな救いが心に残ってます。


ゴミ捨て場でピアノを弾いてた少女が転校生としてクラスにやってくるところから始まる青春バンドストーリー。
「音楽」を題材にした作品は大好物なので、「バンドもの」を好きな作家が書いてる時点で狂喜もの。
ボーイ・ミーツ・ガールの青春小説として、音楽を通したやり取りが熱い。
主人公とヒロインの二人の、音楽を間に挟んだ感情のぶつけ合いが切実で、独特の距離感が心地良い。
更に、強烈な個性を持った先輩などの、人数は少ないながら脇を固めるキャラもいい味を出している。
ラストがやや尻切れトンボで終わってしまった点が大いに残念だが、そのマイナス分を考慮しても「バンド」を題材にした作品として実によくまとまった1冊でした。
まあ、その辺の中途半端な終わり方は発売が決定してる2巻でフォローしてくれくれると思いたい。
流れとしては、三角関係に発展しそうな可能性もあるので、次巻はそういった恋愛面がクローズアップされるのかしらね?
何にせよ次が楽しみだ。