酔いがさめたら、うちに帰ろう。 / 単行本

酔いがさめたら、うちに帰ろう。

酔いがさめたら、うちに帰ろう。


知り合いに薦められたので読んでみる。
最近は新しい分野を発掘するのが億劫でラノベやミステリで日和ってますが、読書に関しては割と雑食です。


アルコール依存症の主人公が、禁酒しようとして失敗してアルコール専門の病棟に入院することになる話。
飄々とした語り口のおかげでテーマの割にはあまり重くなり過ぎずに読める。
中毒や依存症などに対しては、あまり好意的な感情を持ってない私ですから、主人公の弱さや脆さに少しイライラした。
ただ、私小説だからか、細かい描写によってアルコール依存症生々しい嫌らしさが伝わってきてそこら辺はいい感じ。
そして、最後の過去の出来事を語る部分なんかは、少しジーンと来た。せつねぇ。


しかしながら、あらすじを読んでイメージしてたのとは違い、「家族」が物語にあまり絡んでこないのが残念だった。
私小説の形を取っている以上は過剰な脚色は出来ないのかもしれないけど、「酒はやめられるのか!?その時、家族がとった行動は!?」みたいな煽りをするなら、もうちょっと「家族の絆」をクローズアップして欲しかったなぁ。
「優しさ」のようなものは伝わってきたけど、もうちょっとあざとくてもいいじゃないかと。