銀月のソルトレージュ ひとつめの虚言 / イラスト：得能正太郎 / 富士見ファンタジア文庫

銀月のソルトレージュ―ひとつめの虚言 (富士見ファンタジア文庫)

そこそこに著作を出している割に、いまいちパッとしない作者の新作。
シリーズ化してるのが、ノベライズの「魔法遣いに大切なこと」だけなのか。そりゃ余り印象に残らない訳だ。

突然現れた女に刺し殺されたはずの主人公が生きていて、妙な男の言葉に乗ってその女を追う話。
うん、まずは何よりキャラクターがいい。キャラの人数が少ないおかげか、キャラ立ちがしっかりしている。
個人的にはアリス最高。単なる天然キャラじゃなくて、ちゃんと「距離感」と「関係性」について考えてあるスマートなところが気に入った。私が敬語キャラ萌えなのは否定しない。
全体的に素直なキャラ造形のキャラが多いおかげか、自分の信念・考え・誓いに真っ直ぐ生きる姿は清々しさを感じる。
話の筋自体はさほど目新しいものじゃないけど、「昔話（演劇のシナリオ？）」を合間に挟んでいく構成が効果的に働いているおかげで、最後まで飽きずに読むことが出来た。
お話としては割と正統派でケレンミに欠けるせいかやや地味目ではあるものの、素直に楽しめるライトノベルらしいファンタジーでしたよ。

次回作も決まったようなので楽しみ。
銀髪少女の登場で、リュカとアリスの関係が煽られると面白いだが。そっち方向にも期待。