ヤクザガール・ミサイルハート / イラスト:緒方剛志 / ゼータ文庫

ヤクザガール・ミサイルハート (竹書房ゼータ文庫)

ヤクザガール・ミサイルハート (竹書房ゼータ文庫)


一部に熱狂的な支持を受ける元長柾木の新作。
月姫アンソロジーを除けば、商業小説2作目かな?
何気に、ゼータ文庫の感想は初めてか。


学生達によるサミットのために広島にやってきた外国人の主人公がヤクザの少女と出会うことから始まる物語。
トリッキーなタイトルとは違い、中身は意外に真っ当なボーイ・ミーツ・ガールにして、任侠アクション。
初めの方は、自分の考えや理想を押し付ける主人公がウザッタかったけど、後半物語がドライブしてからの勢いはかなりのもの。
ちょっと敵の自爆っぷりと、考えと底の浅さが気になったけど、深く気にしなければ普通に楽しめる痛快娯楽小説
元長作品特有の思想や哲学的・衒学的な部分は完全に抑えてあるので、一般層にも取っ付き易い作品に仕上がっている。元長作品にしては珍しい完全娯楽エンターテイメント作品。
続編可能な終わり方だったので出来れば続編を読みたいところだけど、レーベルの寂れ具合や話題性の少なさが気がかりだ。はてさてどうなるか。


しかし、この人はこういう作品も書けるのに「飛鳥井全死は間違えない」のような間違えた突き抜け方をした作品をデビュー作として上梓してしまったんだろうね。