ゆらゆらと揺れる海の彼方 (7) / イラスト:えびね / 電撃文庫

ゆらゆらと揺れる海の彼方〈7〉 (電撃文庫)

ゆらゆらと揺れる海の彼方〈7〉 (電撃文庫)


ゆったりとした刊行ペースで、地味に続くシリーズも何だかんだで7巻目。
1冊1冊が厚いシリーズで有名だったけど、今回は300ページ強の平均的な厚さでちょっと意外だった。


シグルド・ヴァン・フォルセティと幼馴染の少年を通して、七皇戦争を描く物語。
いわゆる過去編であり外伝に近い。
1〜6巻までは敵方だったシグルドと初登場のギュンター、この二人を主人公に過去の物語が語られている。1〜6巻の主人公やヒロイン役に出番はありません。
シリーズ最薄の1冊だったけど、このシリーズの中では1、2を争うくらい面白かったかもしれない。
当時の国家の情勢や各勢力図などに関する説明が丁寧にされているし、シリーズ当初イメージし辛かった冥海や海獣を使った戦闘も1〜6巻までの蓄積のおかげですんなり入っていけた。
登場させるキャラクターも、コレまでのように下手に乱発するのではなく、シグルド・ギュンター・お嬢様を中心に登場させる人数に抑制がきいていた点も評価できる。
このように予備知識のおかげで設定面の混乱は少なく、名前のある登場人物が多過ぎないおかげで、このシリーズ中最も読み易く楽しめる内容になっていた。
いいところで終わったので、次回に期待したい。このシリーズの次回作を素直に楽しみにするのは初めてかもしれない。
しかし、丸っきり外伝のような内容の本にシリーズナンバーを振る意味は果たしてあるのだろうか?