- 作者: 葵せきな,てぃんくる
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2006/09/20
- メディア: 文庫
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新人賞受賞シリーズも3作目。
妹が押し掛けてくる一方で、友人の姉巫女がやってきて主人公に安らかな自殺を提案してくる話。
うーむ、2巻までは小気味良い会話を楽しむだけのキャラ小説といった感じだったんですが、この巻では化けた感がある。
コレまでは何かと浮き気味だった、主人公の「死にたがり」という特徴にフォローが入る。
後付設定なのか、今まで伏せていただけなのかは知りませんが、主人公の「死にたがり」の原因と理由付けが面白い。陽気で甘い(優しい)性格の主人公が、何故アンバランスな「死にたがり」という悪癖を持っているのかの説明付けや処理が中々上手い。
キチンと筋を通した設定によって形作られたストーリーラインは結構綺麗でしたよ。
コレまで巻にあった明らかに冗長な説明台詞も、書きなれてきたのかある程度圧縮されて改善されてたし、この巻に関してはそれなりに評価したいところ。
キャラクターのコメディ的なやり取りはこれまでに比べて抑え目ながら、バランスよく挿入されて飽きることは無かった。
不満を言うとするなら、ラスボスっぽい新キャラが無駄に万能過ぎる能力だったことかなぁ。生者に対しても無差別に強過ぎる気がするので、ここまで無駄な最強っぷりはちょい萎える。今後はこの辺でバランスを崩さないように配慮していただきたい。
それ以外の部分は割と満足で、初めてキャラ同士のやり取り以外の部分でも楽しめた。お話としてよく出来てました。
しかし、これまでの巻で酷薄な印象を持っていた姉巫女が意外に可愛らしい性格で面食らった。
クーデレタイプのキャラで、ちょっと好きなタイプのキャラかもしれない。
しかし、本文の記述から連想されるタイプと、イラストのイメージが随分違う。イラストロリ過ぎね?