ラジオガール・ウィズ・ジャミング / イラスト：BUNBUN / 電撃文庫

ラジオガール・ウィズ・ジャミング (電撃文庫 (1288))

過去に出している本が見つからないんだけど、デビュー作なのかな？
イラストは最近お馴染みのBUNBUNさん。

戦後、メディアが規制された街の、違法ラジオ・違法放送に関わる少女と仲間と街の人のお話。
あざとい派手さには欠けるけど、非常に優しい雰囲気を持つ良作だった。
「戦後」というややもすると重くなりがちな舞台にも関わらず、そんな状況の中で強く生きようとする街に生きてる人達の強かさを感じる。
序盤の違法ラジオ局と憲兵の追いかけっこが、どこぞの「怪盗と警察」の追いかけっこのようでポップで楽しいし、後半の「事件」に入ってからのドライブ感が凄く素敵だった。
違法ラジオ局・憲兵・街の人を巻き込む「敵」が現れ、街を思う少女の願いに、街を守ろうとする憲兵と街の住人が答えるところなんてもう、ちょっと泣きそうになってしまったよ。
違法ラジオ局・憲兵共にしっかりとした信念の元で行動しているので、文字通り登場人物たちが生き生きとしている。
街に生きる人にとっての「ラジオ」の存在の大きさとかを実感しつつ、ラジオを通した見えない繋がりや人の温かさを感じさせられる一作。
うん、かなり面白かった。こういう話は好きです。