火目の巫女 三 / イラスト:かわぎしけいたろう / 電撃文庫

火目の巫女〈巻ノ3〉 (電撃文庫)

火目の巫女〈巻ノ3〉 (電撃文庫)


電撃文庫の打ち切り境界線である3巻に辿り着いたシリーズ3作目。


長谷部家の千木良の暗躍と、初代火目によって引き起こされる事件の話。
あー、自分がこのシリーズのことを好きなんだと実感してしまいました。面白かった。
何かを守るために何かを犠牲にする、という部分はコレまでの巻でもやられてきたことなんですが、犠牲を出さないように必死になり、何とか救おうと抗う姿は何度見ても鮮やか。
誰かのために戦い、誰かのためにその身を賭ける。
そして、戦って、抗って、もう駄目だと思いながらも、最後に掴み取る救い
これまでの「誰かを犠牲にする」鬱展開を振り払うかのように、犠牲になるモノ達が「救われた」瞬間感慨深いものを感じてしまいましたよ。
勿論、辛いシーンは多いけど、泣きたくなるような状態で訪れる「救済」によるカタルシスには、ここまで読んでて良かったと思える満足感があった。
イラスト買いにも十分に耐えられる、かわぎしさんのイラストも合間って今年の電撃新シリーズの中では結構好きなシリーズかな。
「百合小説」揶揄されることも多いですが、変なフィルター無しに読んで貰いたい作品。


大分エンジンが暖まって来た感があるシリーズだから続編が出て欲しいところだけど、売れ行き面では芳しい評判を聞かない上に、今度作者の完全新作が出ることを考えると打ち切り疑惑濃厚なのかなぁ……
新シリーズが売れて、相乗効果で重版されない限り、シリーズ再開は厳しいか……?
うーん、せめて区切りのいいところまで出て欲しいところだが、はてさて。あー、続編読みたい