火目の巫女 二 / イラスト:かわぎしけいたろう / 電撃文庫

火目の巫女〈巻ノ2〉 (電撃文庫)

火目の巫女〈巻ノ2〉 (電撃文庫)


電撃小説大賞銀賞受賞作の続編


先代の火目が化生となる事件に、弓衆になった伊月や新たな御明かしである茜達が巻き込まれていく話。
前巻同様に決して甘くない話だけど、今回は救いようがあった分あまり鬱々とせずに読めた。
前の巻で明らかになった、決して優しくない火目と化生の定め。
それは否が応でも、事件に関わった伊月・佳乃・豊日や周りの人達の運命を左右していく。
その中で弓衆としての自分の役割と力量に苦悩する伊月の姿が凄く良かった。決して天才ではなく、他者の才能に劣等感を感じ空回りして無力だった前巻から少しだけど成長して、自分の生きていく道を選び、悩み、立ち止まりながらも進もうとする主人公の生き方が、泥臭くて好感が持てる
最後に自分の生きる道をしっかりと掴む展開に読後の充実感がある。
しかし、1巻が単品である程度以上まとまってしまっていることから、どう繋げてくるかと思ったけど、不自然じゃない展開で世界観を膨らませて、次回への伏線を貼るという手際が中々見事だったですよ。
んー、私は割と好きかもしれないこのシリーズ。