以下、「銀盤カレイドスコープ」7巻が買えなかった時期に、苛立ち交じりで書いていた雑文。
「銀盤カレイドスコープ」やフィギュアスケートに興味ない人は読み流し推奨。
なお、ジャンプやスピンの種類や一部の用語についての細かい説明は面倒なんで割愛します。
この辺りのサイトを参考に適当に調べてください。
まあ、「説明しろ」という要望の書き込みとかがあれば説明しますけど、そんな人もいないでしょうし。
何となく「銀盤カレイドスコープ(以下、銀盤)」6巻のプログラム構成について考えてみた。
まずはフィギュアのルールに詳しくない人のために、フィギュアのショートプログラム(以下、SP)がどのような規定・ルールの元で演じられるかを簡単に説明しておきます。
なお、04-05シーズンからの新採点制度正式採用からフィギュアスケートは色々と変わり、今でも新しいシーズンになるたびに、大小様々なルール変更がなされていますが、今回の文章は06年7月現在での最新ルールに準拠するように書きます。
さて、フィギュアのSPとは「銀盤」2巻の前書きにもあるように、3つのジャンプ、3つのスピン、2つのステップ(一つはスパイラルシークエンス)という8つの必要要素によって構成されます。
ただし、これは間違いではないけど、完全に正しい訳ではありません。
ルールではもっと細かく、どんなジャンプを飛ぶか、どのようなスピンをしなければならないのかが決まっています。
シニア女子の内訳は以下の8要素になります。
●リアルフィギュアにおける、2006年7月現在での女子シニアSPの必要要素
- アクセルジャンプ(2回転)
- ステップからのジャンプ(3回転ジャンプ)
- コンビネーションジャンプ(3回転-3回転か3回転-2回転)
- フライングスピン(任意)
- レイバックスピン(サイドウェイズリーニングスピンも含む)
- スピンコンビネーション(基本姿勢を全て含む、足換え1度)
- ステップシークエンス(任意)
- スパイラルシークエンス(3つ以上のポジション、足換え一回以上)
※ スピンの回転数などの細かい規定に関しては割愛。
なお、単独ジャンプとコンビネーションでのジャンプは異なる種類でなければならない。
このように、割と細かく決まっているので、「やれること」が限定的になってしまう。
そして、新採点制度では技ごとに「基礎点」が決まっており、その中で「高得点が取り易い技」を取捨選択するとどうしても他の選手とプログラムの構成が似てきてしまう傾向にある。
新採点制度が非難される大きな理由の一つである、「多くの選手が同じような演技(技)になってしまう」という批判はこの辺りから来る訳です。
さて、話を「銀盤」に戻しましょうか。
「銀盤」6巻の作中では、「今シーズンから女子も、ショートプログラムでトリプルが認められた(P209・14行目)」ことで、上の必要要素のうちアクセルジャンプの規定が、「アクセルジャンプ(2回転か3回転)」という具合に改定された訳です。
まあ、ここら辺はフィクションでの「改定」ですが、リアルフィギュアでのレベル上昇やトリプルアクセルジャンパーである浅田真央の登場もあり、そこまで非現実的な仮定では無いと思いますけどね。
なお、リアルフィギュアについての余談になりますが、「アクセルジャンプ」でのトリプルは禁止されてますが、ショートプログラム中に「トリプルアクセル」を飛ぶことが不可能という訳ではありません。
「コンビネーションジャンプ」要素での「3回転」は、種類までは規定されて無いので「トリプルアクセルから入るコンビネーションジャンプ」でなら、トリプルアクセルを飛ぶことが出来る訳です。
女子でトリプルアクセルからのコンビネーションジャンプなんていうのは、荒唐無稽のように思われるかもしれませんが、2005年全日本選手権のフリースケーティングで、浅田真央選手が「3A+1T」というトリプルアクセルからのコンビネーションジャンプに成功させました。
SPでのトリプルアクセルでこそありませんが、現実の女子選手がこのレベルに来たことはフィギュアファンとしては実に感慨深いものがあります。
そう遠くない未来、SPでのトリプルアクセルを見ることがかなうかもしれません。
閑話休題。
上の方で書いたように、SPは必要要素がキッチリと決まっているため、「銀盤」6巻におけるSPの演技構成を書き出すのも、容易に可能な訳です。
とりあえず、BIG4と至藤・ステイシーのSP構成を以下に書き出してみましょう。
なお、技名に関しては、ISUのプロトコルなどでも公式に使用されている略字で表します。
略字の簡単な説明は、次のボックスの下方に書いておきますので、それを見て略字の読み方を覚えるか、照らし合わせながら読んでくださいな。
「銀盤カレイドスコープ」6巻における、2009年世界選手権ショートプログラムの構成
●至籐響子
【曲名】?
3F+3T P199・5行目に技名記載。 3Lz 「ルッツまで飛べば(P200・4行目)」からルッツジャンプと判断。 FCSp P200・4行目に技名記載。 SpSt 具体的に「スパイラルシークエンス」という表記がある訳じゃないが、「スパイラルの最中も(P200・13行目)」という記述と、プログラム全体のバランスを考えると、ここにスパイラルシークエンスが入ると判断。 2A P201・1行目に技名記載。 CCoSp 「キャメルから入って、最後は変形のアップライト」ということからコンビネーションスピン。 CiSt P202・14行目に技名記載。 LSp P202・16行目に技名記載。
●リア・ガーネット
【曲名】?
CCoSp コンビネーションという直接的な表記は無いが、キャメルが形状・軸足・回転速度変化するところからコンビネーションスピンと判断。
他のスピン要素と照らし合わせた消去法でも残る要素はコンビネーションスピンしか残ってない。3A P210・4行目に技名記載。 3Lz+3T P210・11-12行目に技名記載。 FSSp バタフライから入るのでフライングスピン。P210・13行目にシットスピンという表記アリ。 SpSt P211・最終行に技名記載。 3F P212・10行目に技名記載。 SlSt P212・13行目に技名記載。 LSp P214・14行目に技名記載。
●ガブリエラ・パピィ・ポッゾ
【曲名】 銀河鉄道999のサントラから1曲
3Lz+3Lo P217・8-13行目にジャンプの詳細記載。 SpSt 「スパイラルは(P217・15行目)」という記述と、プログラムの全体的なバランスからここにスパイラルシークエンスが入ると判断。 CCoSp 「そこから直接キャメルスピンへと流れ込む(P217・16行目)」と書いてあるが、他のスピン要素との兼ね合いから、キャメルからのコンビネーションスピンと類推できる。 3A P218・8行目に技名記載。 3F P218・16-17行目に技名記載。 SeSt P219・1行目に技名記載。 LSp P219・6-7行目に技名記載。 FCSp P219・13行目に技名記載。 ●ステイシー・ラングローブ
【曲名】?
3Lz+2Lo P223・15行目の記述から、3回転-2回転のコンビネーションジャンプだと分かる。
セカンドはループという記述があるが、ファーストの種類は書いてない。
ただし、次に入るソロジャンプがフリップということから、ファーストはほぼ間違いなくルッツだと思われる。3F P223・16行目に技名記載。 SpSt P223・16-17行目の「スパイラル」という言葉と表現から、スパイラルシークエンスと判断。 CCoSp P224・1行目に技名記載。 FCSp 「ウィンドミルをかけて派手にスピンを出ると(P224・9行目)」としか書いてない。
この前にあるコンビネーションスピンのラストを表す文章かとも思ったが、ここ以外にスピン要素が入るような記述が無いので、この前のコンビネーションスピンの後に、別のスピン要素を入れたと予想する。
他のスピン要素は種類に関する記述がしっかりしており、それ以外に残るスピン要素はフライングスピンしかないので、フライングスピンであることは確定。
ウィンドミルはキャメルスピン特有のものであるから、フライングキャメルと類推。CiSt P224・10行目に技名記載。 2A P224・13行目に技名記載。 LSp P224・14行目に技名記載。
●桜野タズサ
【曲名】 ハチャトリアン『剣の舞』
CCoSp P227・13-15行目の記述・表現。
「シットスピンから姿勢変化を繰り返して、独創的な回転体に移るスピン。最後はシットポジション」。
このように変化するようなスピンはコンビネーションスピン以外あり得ない。後はスピン要素の消去法。3F+3T P228・2行目に技名記載。 FSSp デスドロップからの入るスピンだから、ほぼ間違いなくフライングシットスピンと類推可能。 SpSt P228・10行目に技名記載。 3A P229・8行目に技名記載。 SlSt P228・14行目に技名記載。 3Lz P230・13行目に技名記載。 LSp P230・17行目に技名記載。
●ドミニク・ミラー
【曲名】?
3Lz+3T P234・8行目に技名記載。 3F P235・2行目に技名記載。 LSp P235・6行目に技名記載。 FSSp P236・3行目に技名記載。 SpSt P236・5行目に技名記載。 2A P236・7行目に技名記載。 CiSt 「右に回り左に回り」「踊りの輪」「連続タップ」「店内を一周し終えると」
最初の文が気になるが「輪=円」「店内=氷上」を一周というのがサーキュラーのイメージ。CCoSp P237・4行目に技名記載。
・略字の説明
ジャンプ: 数字は回転数、A=アクセル、Lz=ルッツ、F=フリップ、Lo=ループ、S=サルコー、T=トゥループ スピン: 数字はレベル(今回はレベルを割愛しているけど)、最後にSpが付くものがスピン。
LSp=レイバック、SSp=シットスピン、CSp=キャメルスピン、USp=アプライトスピン
FSSp、FCSpのように先頭にFが付くものはフライングスピン。FSSpならフライングシットスピン。
CoSp=コンビネーションスピン
以上のスピンに、更にCが加わると足換えという意味になる。
CCoSp=足換えコンビネーションスピン、FCCSp=フライング足換えキャメルスピン、など。ステップ: 数字はレベル(今回はレベルを割愛している)、最後にStが付くものがステップ。
CiSt=サーキュラーステップ、SeSt=サーペンタインステップ、SlSt=ストレートラインステップ
SpStのようにStの前についたSpはスピンではなく、SpS=スパイラルシークエンス、を意味する。
以上になります。
はっきりと技名が表記されて無い要素に関しては、予想や推測で書いてあります。
なるべく、根拠に基く筋の通った推測をしているつもりですが、間違ってたり、勘違いしてると思う人は連絡ください。
なお、今回はスピン・ステップのレベル表記については割愛してあります。
ジャンプの回転数とは違って機械的に付けれる類のものでは無いから、今回はなるべく曖昧な部分は排除したいので。
さて、今回はSPの演技構成を抜き出してみた訳ですが、気が向いたときにでも上の演技に仮想の採点をしてみようかと思います。一応、リアルフィギュアの点数を参考につけるつもりですが、大半の部分が私の妄想になることは必至。
まあ、仮にそのような仮想スコアを付けるとしたら、その前に新採点制度の簡単な説明を入れようかと思いますけどね。
新採点制度のことをまったく理解して無い状態で、仮想採点を見ても仕方ないと思いますし。
とりあえず、次回があれば、ということで今回の雑文はここまで。