- 作者: 岩田洋季,室井麻希
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/05
- メディア: 文庫
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アニメ化も決まった「護くんに女神の祝福を!」の作者による読み切り長編。
自分の家に引き取ることになった天才画家の従妹との物語。
いやいや、予想していたよりずっと面白かった。じんわりと心に響く良作。
引き取られた先で感じた家族愛、否定され続けようやく自由に書くことが出来た絵を描くことへの情熱と喜び、自殺した母親への想い、素性の謎だった父親による呪縛、そして自分を支えてくれた少年への思慕など、少女の心情・感情・変化などがよく描けていた。
そして、亡くなった妹と重ね合わせて見てしまうことに後ろめたさを感じながらも、心の深いところで疵になっていた「妹の死」を乗り越える、少女を支える少年の姿も実直で好感が持てる。
そんな色んなことに、悩み・喜び・苦しみながらも前に進むひたむきな姿には涙が出る。
「画家としてトントン拍子にいき過ぎ」とか「絵に興味ない人に対する、絵の力がありすぎじゃね?」とか深く考えるとご都合主義的な所が目に付くけど、まあ、そんなアラ捜しをするよりは素直に読んで楽しんだ方が得でしょうね。
最近の電撃の読み切り長編の中では屈指の感動作。
某所の企画で、投票数が1人10票だったら入れてたかもね。