憂感少女―エクスプローラー〈2〉 / イラスト:石田あきら / 富士見ミステリー文庫


新人賞受賞作の2巻目。


「兄」の行方不明、「敵だった女」の逃亡、とある孤児院の危機に端を発する騒動に少年・少女が巻き込まれるお話。
複数の事件・事柄が一つに収束していく、という構成自体は好きなんだけど、その流れの洗練度に欠ける。いまいちゴチャゴチャとし過ぎているし、「敵の目的」も釈然としないものだった。
キャラクターも悪くないし、「超常能力」の使い方も安定しているのに、このストーリーラインや伏線処理の荒さが足を引っ張っている。
それと、高校生組で「戦闘力」に秀でた人間がいないことで、「戦って勝てないから頭を使う」という切り口が出来ればいいんだけど、いまいち「戦闘力の低さ」というヘナチョコっぷりが気になるなぁ。
そもそも、幾ら特殊能力を持ってるからって、高校生4人組がすんなりと組織を出し抜く展開に度を越えたご都合主義を感じる。「主人公たちの力」のことを知ってるなら、もうちょっと対処してるだろ、みたいな。
「考える役」の主人公がいまいま素直すぎるので、もうちょっとクレバーな頭脳役がいた方がバランスが良くなると思う。
今年の富士ミスの新人賞作品の中では一番好きなシリーズではあるから、諸々の瑕に関しては次巻まで様子見ってところかな。