死神のキョウ / 著:魁 / 絵:桐野霞 / 一迅社文庫

死神のキョウ (一迅社文庫)

死神のキョウ (一迅社文庫)

一迅社文庫デビューラインナップ7作品その2。
CLANNAD藤林杏シナリオライターによる小説デビュー作、という触れ込みで売り込んでいたけど、個人的にはBonbee!(RAM)のシナリオライターという印象の方が強い。
というか、魁さんってRAM・Bonbee!辺りのころから「きょう」が付くヒロイン作り過ぎじゃね?

・魁さん担当ゲーム
「八房 京華」(「ねがい」)
「穂上 響」(「Ribbon2」)
「麻宮 梗」(「ALMA 〜ずっとそばに…〜」)
「藤林 杏」(「CLANNADクラナド-」)
「鏡」(「死神のキョウ」)


死神を名乗る少女・キョウが、何故か主人公を守りに来たところから始まるドタバタコメディ+隠し味にシリアス。
主人公とキョウの軽快な会話のやり取りといい、最初はコメディタッチで終盤に泣かせる(驚かせる)シリアス展開を持ってくるフォーマットといい、良くも悪くも作者のエロゲライター出身を感じさせる作品
特に前者の「軽妙な会話のやり取り」って要素は、エロゲライター出身・エロゲSS出身に良く見られる傾向な気がする。
デビュー作だけあって、段取りが悪くてややテンポが悪いところが見られるし、会話のやり取りがクドイところが幾らか見受けられるかなぁ。
端的に言えばまだ硬い。
長編小説を書きなれてなくて、エロゲシナリオを小説という媒体に上手く落とし込めてない感じ。
それが最も現れてるのが終盤のシリアス展開。
ゲームなら音楽とか多様なイベントグラフィックとかで涙腺を刺激できるところが、そういった要素が欠けてしまい上手く終盤の盛り上げが出来てない
展開のさせ方も、シチュエーションもそう悪くないのに何かイマイチ乗っていけないんですよ。
読み手のテンションを上げきれないまま山場に入るので、クライマックスがどこか上滑りしてしまってる。
そんなこんなで物語のまとまりはそう悪いものじゃないのに、小粒過ぎる作品になってしまった。
うーん、あからさまにデビュー作の難しさが出てしまった形ですね。


ただ、軽妙な会話が好きだったり、勢いとノリでキャラ読みするような人なら読んでもいいかもね。
ヒロインのキョウはCLANNADの杏の凶暴さ増強互換キャラなので、そういったキャラが好きな人ならって感じ。