遠まわりする雛 / 単行本

遠まわりする雛

遠まわりする雛


短期集中俺米澤穂信祭(謎)第二弾。
文芸部シリーズの第四作目。
氷菓」から「クドリャフカ」以降まで、様々な時間軸で語られる話を集めた短編集。


千反田さんが晴れ着を着たり、蔵に閉じ込められたり、生き雛になったりする話などが集まった短編集(凄く偏った視点)
実に甘酸っぱい青春小説でした。
ミステリ短編として安定した出来だったのは想定内だったもの、このシリーズでこんなに未熟で淡く切ない恋愛感情を見られるとは思いませんでした。凄い不意打ち。
氷菓」と違って一貫したテーマとか事件はなかったけど、その分思春期少年少女の心情などを落ち着いて読み取ることが出来た。
単純な好き嫌いとは別の次元で、告白をはぐらかす少年の「考えすぎ」なところがもう無性に青臭くてちょっと赤面しそうになったよ。
それと、「こりゃ恋愛関係では進展しないな」と思ってた奉太郎と千反田さんの関係がちょっと進んだのが驚きだったし、この無闇に遠回りなぎこちない恋愛距離がたまらない。
ここら辺の恋愛感情の変化に「氷菓」から「クドリャフカ」以降に至る時間の流れを感じるなぁ。
ここまで文芸部シリーズを追ってきたものとしては、上々の青春小説でしたよ。