インシテミル / 単行本

インシテミル

インシテミル


短期集中俺米澤穂信祭(謎)第一弾。
ゼロサムゲーム、もしくはデスゲーム小説と呼ばれるジャンルの小説。


閉鎖空間で特定ルールの下で行われる「殺人・推理ゲーム」に巻き込まれた人々のお話。
こういうデスゲーム小説は大好きなジャンルなのですげー面白かった。。
ゲームルールを持て余すのではなく、上手に制御して物語に落とし込んでるところが実に巧い。展開を一転二転させるラストの流れがたまらん。
日本の小説は数あれど、こういう「デスゲーム」もの自体の絶対数が少ない上、その中でも構成力・展開力がある人が少ないため「アイディアだけはいいけど、諸々の展開やラストが尻すぼみ」という作品が多いだけに(矢野龍王とか山田悠介とか)、筆力のある人がこういう作品を書いてくれることは非常に嬉しい。
最後の苦さと甘さ入り混じったビターな終わり方も、最近の米澤さんらしくて感慨深いものがあった。
青春小説の多い作者だけど、こういう青春小説とは違った「娯楽小説」でも一級の作品を書けるということが分かったのが嬉しい誤算。