影≒光 シャドウ・ライト 陰陽編 / イラスト:植田亮 / スーパーダッシュ文庫


第4回スーパーダッシュ小説新人賞佳作受賞作のシリーズ2作目。


とある陰陽一族のお家騒動に端を発する連続陰陽師一族虐殺事件に、双子の姉が関わる話。
うーん、何だろうこの1冊内での尻すぼみ感は。
前半は悪くない。新キャラの眼鏡少年やその妹・兄貴の因縁から決別に至るまでの描写は割と丁寧で、導入部分は入って行きやすい。
ただ、双子姉と眼鏡少年が出会ってからの流れが好きになれない。
何か今まで散々論じて来た「罪は償える」という語り口に、「家族で争ってはいけない。家族が分かり合えないはずがない」という綺麗事が融合して正直辟易した。
いや、償える罪にも限度ってものがあるだろう。罪を犯すことになった動機とか目的とか態度とか鑑みてさ。
眼鏡少年の最初の主張の方が分かり易いし、筋が通っている気がするのに何で説得されちゃうかなぁ。
姉少女の言うこと、やる事が徹底的に綺麗事過ぎてイライラする。
そして、その綺麗事による説得のせいで、最後の決戦が激しく拍子抜けの幕切れになる。
何この戦いの終わり方
オイオイ、殺人鬼のお兄さん、何でアンタ突然家族愛に目覚めてるのさ。今までそんな素振りも伏線も見せなかったじゃん。
前半から中盤に至るまでの流れが丁寧だっただけに、「最後の対決」の余りの肩透かし具合にズッコケタ。
……あー、結局このシリーズって「本当の悪人なんていないんだ!犯した罪だって償えるんだ!」っていう性善説的綺麗事を旗印に突き進んで行くつもりなのかね。
ものごとにはバランスってものがあると思うんだけどなぁ。
「本当の巨悪」が最後の敵としてしか現れないとしたら、それはそれでちょっと萎えるかも。