空を見上げる 古い歌を口ずさむ / 単行本

空を見上げる古い歌を口ずさむ (Pulp‐town fiction)

空を見上げる古い歌を口ずさむ (Pulp‐town fiction)


第29回メフィスト賞受賞作。


突然他人がのっぺらぼうにしか見えなった息子を連れて、何年も会っていない兄に会いに行く話。
物語は「兄」による過去回想がほとんどを占める構成になっている。
最初は純文学系のような書き出しで、ミステリっぽくなったと思ったら非現実的な要素が介入し始め、ホラーに転じたと思いきや、最終的にはプチ伝奇風ファンタジーで落ち着くというオチがある意味衝撃的だった。
ぶっちゃけどういう傾向の作品として見せたいか判然としない、焦点が定まらない奇作。主に悪い意味で。
特に最後の全ての真相にあたる伝奇風設定が、下手なライトノベルのように軽薄な設定でかなり萎えた。こんなオチならよっぽどライトノベル読んでた方が娯楽小説としては真っ当で楽しめるよ。
個人的にはホラー路線で書くのが一番良い選択だった気がするんだけどなぁ……
うーん、メフィスト賞の中では個人的な地雷作品の一つだった。