死都日本 / 単行本

死都日本

死都日本


第27回メフィスト賞受賞作。
スゲー個人的なことだけど、この作品で(2007年9月)現在刊行されているメフィスト賞作品をコンプリート。
これで私もメフィスト賞読みとして、一つのステップをクリアした感じ。
まあ、もっと意識してメフィスト賞受賞作を消化してけば数年は早くコンプリートしていたでしょうが。


九州の火山噴火による災害から何とか脱出しようとする主人公と、国家存亡の危機に陥る日本国の話。
いわゆる「火山の大規模噴火」をテーマに据えたクライシスノベル
専門家じゃないのでどの程度考証が正しいのか分からないけど、メカニズムの説明と説得力、災害描写の凄惨な迫力はかなりのもの。
説明が多少クドイ部分もあるけど、その圧倒的な情報量で無理矢理引き込まれてしまった感じ。
このジャンルの本を読むのは久しぶりだったけど、それなりに楽しんで読めましたよ(文章量のある本なのでこれでつまらなかったらたまったものじゃないですが)
ただ、主人公の避難話と、首相サイドの日本存亡話が平行してあまりリンクせずに進むため、一つの物語としてはやや散漫な印象を受ける。
もうちょっと早い段階で主人公が日本存亡の話に絡んでくるか、もしくは災害からの避難をメインに据えてしまうかした方が、一つの作品としてまとまりが良かった気がする。
正直、話の落としどころである「日本存亡」をかけた計画に関して、主人公が果たした役割が小さすぎて、主人公の存在感が薄れてしまったよ。
もっと、「主人公の物語」としてのアプローチが明快ならもうちょっと評価できたんですけどね。ちょっと残念。