- 作者: 小河正岳,戸部淑
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02/10
- メディア: 文庫
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第12回電撃小説大賞・大賞受賞作。
闇の眷属(妖精・妖怪・魔物等)が住まう屋敷で、一人のバンシーがお留守番をするだけのお話なんだけど、いや、これは面白い。
「闇の眷属」と言っても、全然おどろおどろしくないコミカルでポンコツな登場人物達が織り成すドタバタ劇は、癖の無い文章と相まって大変楽しく読み易い。
250ページ弱という電撃の長編としてはかなり薄い部類に入るページ数ながら、それぞれのキャラクター達の個性が実に生き生きと描かれており、各キャラの書き分けもしっかりとしている。
特に主人公のアリアが主人と屋敷のために奮闘する姿は、健気で可愛らしい。戸部淑さんのイラストが素敵過ぎ。
このページ数と登場人物の数で空気キャラがいないというのは、意外に難しいポイントなのでこの辺は高く評価していいと思う。
テンポよく進むストーリーと、読後感爽やかな終わり方など、人を選ばない良作。
ここ最近の大賞受賞作では、珍しく素直に面白いと言える作品ですね。
凝った話やアクの強さを求める捻くれ者の方々も、たまには素直な話を読みましょうということで。