BLACK JOKER ―少女たちの方程式― (富士見ミステリー文庫)

BLACK JOKER ―少女たちの方程式― (富士見ミステリー文庫)


第5回富士見ヤングミステリー大賞<奨励賞>
編集部の解説に書いてあった「美人の人妻」という記述にちょっぴりドキドキ


謎があって事件が起きる、割とオーソドックスな作りのミステリ。
登場人物も、キャラ小説的な自己主張に乏しく、イマイチ地味な感は否めない。
肝心の「謎」に関しても割と萎える出来。解決部分で白けた。
特にアノ暗号は酷い。出てきてすぐに思いついて「まさか、ねぇ……」と思った解読法だったし……
正直こじんまりとまとまってる以外、地味でミステリ的な魅力に欠ける。どうなんだろうね、この作品
あー、あえて言うなら随所に入る「米国小ネタ」だけは少しだけ面白かったし、少女二人の友情の描き具合は好感が持てるかな。地味だけど


以下、ネタバレの愚痴。本編読んだ人だけ読んでください。

暗号に関して色々と疑問に思ったこと。
「ゐ」や「ゑ」が入ってる辞書も少なくなってるこのご時世に、何故「ゐ」「ゑ」が入ってる前提で「92」をカウントするんだろう。
今手元に「広辞苑」は無いけど、最近の版でもちゃんと「ゐ」「ゑ」は入ってるのか?
それと、五十音図はともかく、実際の辞書の中身になると、「は」の欄に「ば」や「ぱ」で始まる言葉が入ったりしてるので、清音が終わってから濁音・半濁音という順番以外の考え方もある。
後は、小さいひらがなの順番が「ぁぃぅぇぉ・ゃゅょ・っ」って書いてあるけど、五十音の順番で考えると「っ」が「ぉ」と「ゃ」の間に入ってもいいんじゃないのか?
なんか随所で作りの甘い割に、簡単な暗号だよなぁ……
つーか、幾らアメリカ人とはいえ、ある程度優秀な人間なら「日本語が書いてある」というキーワードから、この解法にたどり着くのは決して難しくない気がする。
少なくとも、ミステリのメインに据える謎じゃないことだけは確かだ……