ひかりのまち―nerim’s note / イラスト:nino

ひかりのまち―nerim’s note (電撃文庫)

ひかりのまち―nerim’s note (電撃文庫)


第11回電撃小説大賞金賞受賞作。


前半の流れは結構好き。
少年少女の恋や友情、肉親との確執などの青春小説っぽい雰囲気が心地よいし、爽快感溢れるキックスケートがイラストの効果もあってイイ感じ
兄の失踪、日黒期の謎、ミムルク党の暗躍などの「本当のこと」に迫っていく流れと雰囲気も好み。
ただ、構成上の問題か、尺の問題か知らないけど謎を解き明かしていく過程の下手糞さはどうにかならないものだったのかなぁ。
全ての真相を知るキャラクターが一方的に「本当のこと」をぶちまけて謎が解明されるという展開は、何かのギャグなんでしょうか。
悪役が「冥土の土産」として自分の企みを全てカミングアウト、みたいな展開で全力で白けた
少しずつ謎が解明していくという流れじゃなくて、一気に全てを語るキャラクターが出てくるって、凄く不自然なんだよな……それと、伏線の出し方が中途半端だったせいで、ぶちゃけ説明トークで出てくる新しい設定とかが唐突な印象を受けるし。
前半の謎に迫っていく展開がそれなりに良かった分、この後半の投げやり感とのアンバランスさが一層際立つ。いきなりトンデモ科学みたいな設定出されてもな……
あとがきを見ると、受賞後に大幅な加筆修正を行ったとあるから、このバランスの悪さはそこから生まれたものなのかねぇ。
後半の強引さが目立つ分、完成度やまとまりでは他2作品に圧倒的に劣る。
ただ、前半の雰囲気だけは受賞3作品の中では一番好きだった分、最も惜しいと思う作品である。まあ、他2作品より面白いかと言われると否ですが。



最後に一言。
アシュタミが不憫でならない。