狼と香辛料 / イラスト:文倉十 / 電撃文庫

狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (電撃文庫)


第12回電撃小説大賞・銀賞受賞作。


行商人と神様が一緒に旅をするお話。
うん、コレは中々面白かったですよ。
程よくこなれた商人の主人公と老獪で浮世離れした寂しがり屋の神様。この二人のやり取りが軽快で楽しい。
街から街へと旅する行商人の心情や旅情も出ているし、雰囲気はいい感じ。
それと「経済がらみの裏技」という仕掛けが思ったより良く出来ている。まさか「行商人」というキーワードが、ここで生きてくるとは思わなかった。
読んだ感覚は「女子大生会計士の事件簿」の会計トリックに似てたけど、電撃文庫こういう切り口の作品に出会えるとは思わなかった。
普通に続編が出そうな終わり方をしているだけに、これからも「行商人」という要素を上手く生かしていってくれれば、期待していきたい作品。
単なるファンタジー作品ならなければいいなぁ、というのが最大の心配事かな。