Alice / イラスト:エナミカツミ

Alice (電撃文庫)

Alice (電撃文庫)

作者に見覚えが無かったので、初めて読む人だと思ってHPを見てみたら「隊長は倒れてる」「ガンゴースト」の人かよ。もろに作品既読だよ。
「隊長は倒れてる」は正直面白くなかったけど、「革命暮れて皿洗い ガンゴースト」の方は割と好きだった覚えがある。続編の方は出てたことさえ知らずに未読だが。
そんな作者(どんなだよ)による電撃文庫デビュー作。


「ガンゴースト」を読んでて思ったこととして、漫画的なノリで展開されるデタラメアクションをやらせるとこの作家はやたらと生き生きとしてくる。
後書きで「この小説で一番書きたかったのはパームガンです。ほとんどそれのみです」と言ってる通り、パームガンを始めとするアクションはノリノリ。以前に二挺拳銃を書きたいだけで一作書いた作者だけはある。
銃撃戦から格闘戦、カーチェイスなど好き勝手やってます。
それだけだと単なるアクションノベルですが、作品の随所に挿入されるブラックユーモアがいい意味で作品を守り立てる。
クスリと来る笑いじゃなくてニヤリとする笑いがこの作品の真骨頂じゃないかな。


それとやっぱりこの作品の白眉は人語を操る天然グリズリーがリアルファイトを繰り広げるところ。
「グリズリー vs 改造人間」というどこぞのB級特撮にでも出てきそうなバトルを素で行ってるところがすげぇ。そのバトルがやたらと熱いところが素敵過ぎる。
こういう頭の悪いアクション(誉め言葉)は大好きです。
まあ基本的にブラックユーモアとB級のノリについていける人向けかな。
アクションを始めとしてハイテンションで突っ走る作品だからノリに付いていけなかったり、深く考えてしまったらこの作品を読む上では負けだと思う。
ああ、和の心を語るカナダ産グリズリーに惚れてしまいそうです(惚れるな)