荻浦嬢瑠璃は敗北しない / 著:元長柾木 / 絵:目黒三吉 / 単行本

荻浦嬢瑠璃は敗北しない

荻浦嬢瑠璃は敗北しない


元長柾木久々の単行本。
雑誌への掲載を除けば、「ヤクザガール・ミサイルハート」以来の1年半ぶりの新作かな?
飛鳥井全死は間違えない」の続編(番外編?)で、「飛鳥井」からは2年半ぶりの作品。
まさか「飛鳥井全死は間違えない」の続編が出るとは思わなかっただけに喜ぶ以前に驚いて戸惑った


学校に戻った荻浦嬢瑠璃が、その微温湯のような生活の中で闘争に巻き込まれていく話。
前作に引き続き、バイオレンスでグロテスクでエロティックで衒学的元長柾木らし過ぎる作品でした。
難解な言い回しや概念による長広舌とか世界観とか、元長節絶好調なため、非常に一見さんお断り臭が漂う人様に薦め辛い作品になっております。
「ヤクザガール」が癖が強いながらちゃんとエンタメなボーイ・ミーツ・ガールしてたのに比べて、ライトノベルレーベルから出て無い単行本なせいかこのシリーズは相変わらずブレーキ無視で突っ走ってるなぁ。
人を選びすぎる作品名だけに面白いかどうかはさておき、このインパクトの強烈さ(どぎつさ)だけはガチ。


私は元長ファンというか、「若干信者入ってる」と言われてもおかしくないのを自覚してるんで、普通に楽しめてしまいましたが。
「認識力学研究所」とか「霞ちゃん」とか「くきゅくきゅ」とか、otherwiseファンとしては反応せざるを得ないキーワードが散りばめられていて、正直タマランかった。
しかし、個人的に一番大きな反応をしてしまったのは「ゲームのCDを盤面にして、時計にする」「ゲームの初回版についてたおまけ」って部分。
……どう考えてもONE〜輝く季節へ〜(初回版)」のことです。本当にありがとうございました。つーか持ってるよ私!
元長とONEとは、「模倣からの逸脱」というキーワードで繋がっているとはいえ、まさかこんなに直截的にONEの存在が出てくると思わなかったよ。あの頃は楽しかったなコンチクショウめ!
……そういう、作品の本質とは離れたところですげー楽しんでる私が居ましたとさ。


前作の感想 → 「飛鳥井全死は間違えない