バカとテストと召喚獣 / イラスト:葉賀ユイ / ファミ通文庫

バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)


第8回エンターブレインえんため大賞編集部特別賞受賞作。


指定実験校で、テストの点で強さの決まる召喚獣を使ったクラス間バトルが勃発する話。
近年屈指の素敵莫迦小説。まさに愛すべきバカ小説。ディモールト。
そもそもあらすじや発想もバカなら、登場人物の行動もバカで、更に軽妙なテンポの文章も随所にネタが仕込まれていて飽きさせない。
章間に挟まれる「問題と回答と先生のコメント」も余りのくだらなさに爆笑。最高。
全体を通してバカ小説としてのまとまっていながら、ラブ臭のする展開もあったりして実に「楽しくなる」バカ小説でしたよ。
惜しむらくは、ページ数に比べて中身の積み込み過ぎで、最後の方が駆け足になってしまったこと。全ての対決の中でも、最終決戦であるはずのA組との対戦が一番やっつけ感があったのが何とも。
それと、多数の登場人物がいるのに、各人に見せ場を与えようとして焦点がぶれた面が見受けられたのも減点材料。
後は召喚獣の戦いがほとんど点数の引き算のような形で勝負が付くのが、正直退屈なものだったし、「バトルもの」としての評価を厳しくしてるかなぁ。
単純な数値差で勝負が決まるんじゃなくて、もうちょっと使い手の操り方次第で戦力差(点数差)を埋めることが出来る形式の方が話に広がりが出ると思うんだけどね。
この戦術・戦略性の乏しさが2巻以降の成否に関わってくるような気がするなぁ。
まあ、上記したように色々と欠点は多いけど、若々しい勢いに溢れる快作でしたよ。
今回の受賞作の中だと、出来が一番いいとは言えないけど、個人的には一番好き。