- 作者: 天樹征丸,田島昭宇
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/05/23
- メディア: 単行本
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「金田一少年の事件簿」の原案者(原作者)によるWeb小説の単行本版。
周りでよく人が死ぬ少女・ゲンジが関わった事件を描く連作短編。
田島さんのイラストが「サイコ」を連想させるせいか、エキセントリックな主人公を想像していたんですが、予想外にナチュラルな性格だった。
「周りでよく人が死ぬ」「凄惨な過去を持つ」ということ以外、ゲンジ本人の資質は割と平凡な印象を受ける。
ただ、その平凡さ故に「探偵役」としての素養を持つ訳でもなく、ワトソン役として見ても低温な文章のせいか魅力に欠ける。
ストーリーやミステリ的な仕掛けも貧弱過ぎて、どこにも引っ掛かりが無い作品でしたよ。
近年中高生向けの作品に見られる「空虚感」や「GOTHな雰囲気」を持った、サスペンス風ミステリでもやりたかったのかね?
もしそうなら類似作品が多い近年、後発組としてはキャラ・ストーリーなど様々な部分で中途半端すぎる出来と言わざるを得ない。単純に読んでて面白くない。
真っ当なミステリ畑に立つにはミステリとしての仕掛けが貧弱で、ライトノベル畑の人間にアピールするにはキャラ等が弱すぎる。
個人的に「小説版金田一少年」を「中高生向け推理小説」として一定評価しているだけに、同じ作者が書いたとは思えない程お粗末なミステリ作品でしたよ。
これなら、素直に小説版金田一少年の新作でも書いておいた方が万倍もマシですね。