館島 / ミステリ・フロンティア

館島 (ミステリ・フロンティア)

館島 (ミステリ・フロンティア)


ミステリ・フロンティアの本を読むのは久しぶり。
東川さんの作品を読むのは「学ばない探偵たちの学園」以来2冊目。


墜落死体があるのに墜落場所が分からないという謎の事件が起きた数ヵ月後、同じ館で起こる殺人事件を描くミステリ。
「孤島」ものとしての要素を含んだ「館もの」。
序盤の見取り図を見た時点で、この作品の核心とも言うべき「墜落死の謎」に予想がついてしまい拍子抜けした。
謎の正体が余りにチンケで、ミステリとして圧倒的に驚きが欠ける。
まあ、館を「あるもの」として捉えるのはちょっとだけ面白かったかもね。
ただ、この作者さんの作風なのかもしれませんが、探偵役とワトソン役の軽すぎるノリがちょっと肌に合わない。
「学ばない探偵たちの学園」に比べれば不謹慎の度合いは低いものの、「殺人者」のいる館で下半身思考に走る刑事の行動にはウンザリするなぁ。
まるで第三者のように危機感の無い探偵・ワトソンせいで、適度な緊張感が無くなってしまい、せっかくの「孤島」ものとしての魅力に削いでしまっている。
やっぱり、ミステリ的な部分はともかく、軽い人物造形は私の好みに合ってないのかな。この作者の作品は。