- 作者: 大山誠一郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/10/28
- メディア: 単行本
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ミステリ・フロンティア第9回配本作品。
あるアルファベット一文字に象徴される三つの事件のお話。
主要登場人物を同じくする三つの話で構成される連作短編(?)。最後の事件はページ数的に中編かなぁ。
最初の二つの短編は小粒で、驚きや面白みには欠ける。典型的な安楽椅子探偵もので凡作のミステリ短編と言った感じ。
ただし、最後の安楽椅子ものではない中編は割と面白かった。
複数の主要キャラが次々と推理を披露しては、違う探偵役に否定されていくという流れの「複数探偵」ものは好物なんで、この形式のミステリという時点で私的には好印象。
そして、最後のオチが結構鮮やかに決まっていて良かった。
まあ、最後の推理に辿り着くまでのロジックに関しては幾つか疑問に思うところはあったけど、それを考慮に入れても中編だけは佳作扱いしてもいいかもね。前半が面白みに欠けただけに尚更。
前半だけでは凡作短編集で終わるところを、最後の中編が全体なクオリティを押し上げて、何とか読める本に押し上げたという感じ。
推理の提示→論理的な否定→新たな推理の提示→論理的な否定、という構成の話が好きなら読んで損は無い1冊。