- 作者: 坂入慎一,凪良
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02
- メディア: 文庫
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坂入慎一の新シリーズ2巻目。
喜々津静夜を復活させるために、魔術師が喜々津砂夜を襲撃するお話。
相変わらずの好き嫌いが別れる渇いた文体で、普通より厚めのページ数という時点で売れなさそうな雰囲気がプンプン。
そして、「シャープ・エッジ」以上に派手さがなくなったバトルが、より一層地味さを強める。
商業的には成功しそうに無いシリーズですが(余計なお世話だ)、個人的には結構好き。
独特の文体によって紡ぎ出される空虚感や、死や概念に対するどこかしら突き放した捉え方が心地よい。芝居がかった台詞回しも素敵。
「才能を持つ者」や「魔術師」が「特性」を生かして戦うのも、能力者バトル系の2番煎じであったとしても嫌いじゃないし。
ただ、1巻より継続される主人公のヘナチョコっぷりだけは勘弁して欲しいなぁ、としみじみ。
「強い主人公」が好きな私としては、この一点で「シャープ・エッジ」の方に魅力を感じる。
うーん、「精神的な強さ」「強い生き方が出来る」というのは分かるんだけど、頻繁にバトルがある作品なんだから、もうちょっと主人公に「戦う」ことに対する強さが欲しい。
とりあえず、二番煎じな要素満載な上、限りなく地味な文体も方向性も好き嫌いが別れる作品ではあるけど、個人的にはそこそこ楽しめた。
もう一皮・二皮向ければ、という作家なので次回作辺りに少し期待(今シリーズには期待しないのか)