- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/08/25
- メディア: 単行本
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昨年の「このミステリーがすごい!」国内ダントツの1位にして、第134回直木賞受賞作。
今期の「白夜行」のドラマ化といい、今最もノリにのっているミステリ作家・東野圭吾の代表作になるだろう1作。
大傑作。
いや、これは参った。ヤバイ。前評判が高いから多少構えて読んだというのに、その壁をアッサリと越えてきた。
いわゆる倒叙ミステリで、トリックの完成度の高さだけでも脱帽ものなのに、それに加えられた恋愛小説としての要素が抜群。
コレほど悲しいまでに純粋な愛情がかつてあっただろうか。
冷徹な論理性と不器用で実直な愛情が合わさったある種のアンバランスさが、非人間的な天才であるはずの石神という人物に、酷く愚直な人間臭さを与えている。
ミステリとしても恋愛小説としても間違いなく一級品。
「このミス1位」「直木賞受賞作」ということに、まったく看板負けしない快作。
ここまで純粋に面白いと思える直木賞作品は、ちょっと覚えが無いかも。
「ミステリ」や「直木賞」ということで敬遠せず、是非とも読むことをオススメします。
ただ、惜しむらくは最後の最後で「娘」のことが中途半端になってしまったこと。
エピローグを入れろとまでは言わないけど、少しでもいいからフォローを入れて欲しかった。
コレがこの作品唯一の瑕と言える瑕じゃないかなぁ。残念。