クジラのソラ 4 / 著:瀬尾つかさ / 絵:菊池政治 / 富士見ファンタジア文庫

クジラのソラ〈04〉 (富士見ファンタジア文庫)

クジラのソラ〈04〉 (富士見ファンタジア文庫)


チーム戦ゲーム小説かと思いきや、何時の間にかすっかり宇宙の存亡をかけた壮大なSF小説になってた「クジラのソラ」の最終巻。


第三段階アウターシンガーになるためジュライから離れていった冬湖を追って、打ちのめされた雫・聖一達がもう一度立ち向かう話。
1巻から4巻まで、全体を通して駆け足気味だったものの上手く風呂敷を畳んだ印象。
当初期待してたゲーム小説的な面白さとは方向性が変わっていったものの、凡人(秀才)の天才に対する劣等感、天才ゆえの葛藤、等のアプローチがスポコン小説的な面白さを発揮して、実に楽しいシリーズでしたよ。
秀才が秀才なりに足掻いて、天才に一杯食わせる展開が素晴らしかった。
デビュー作と同様の「壮大なスケールでありながら、箱庭のような狭い人間関係が中心の物語」というセカイ系な世界観でありながら、前作の最重要人物以外の存在感の無さが幾らか解消されてたし、ライトノベルらしいキャラの魅力も向上して、デビュー作からの成長が伺えます。
この作者のセカイ系以外の作品を読みたいと思いつつ、次回作にも期待です。いいシリーズでした。