クジラのソラ01 / イラスト:菊池政治 / 富士見ファンタジア文庫

クジラのソラ 01 (富士見ファンタジア文庫)

クジラのソラ 01 (富士見ファンタジア文庫)


琥珀の心臓」でデビューした作者の新作にして初シリーズ作品(シリーズナンバーついてるし)


超文明宇宙人主催の「ゲーム」に青春と想いを賭ける少年・少女の物語。
コレは良いSFスポコン小説ですね(いや、正確にはスポーツじゃないけどさ)
劣等感、焦燥感、罪悪感、嫉妬に喜び、怒りなどの感情や行動がストレートで読んでいて気持ちいい。
主要キャラの書き分けと住み分けも上手く、ストーリーや盛り上げ所も分かり易く軽妙で素晴らしい。
まあ、多少「トントン拍子に行き過ぎ」と思うところもあるし、描写が乏しく気になった部分はあったけど、総合的に見れば余りそういった面を気にすることなく面白く読めたかな。
元々こういう「特定ルール下で行われるゲーム」を取り扱う作品は好物なんで、凄く面白く読めました。
次の巻が待ち遠しいけど、なるべく早く終わって欲しくはない。太く長く楽しみたい作品。



蛇足のようなツブヤキ。
主要キャラ以外の描写が弱いところや、視点キャラの感情表現のストレートさなんかは、「琥珀の心臓」と同じ作者であることを実感させる。
ただし前者については前作よりは大分改善されており、前作では本当に「完全空気」のような扱いしかされないキャラがいたのに比べて、ちょい役も弱いながら描写されてるし。
それと、観念的だった前作とは違い設定面が分かり易くシンプルになっていたりと、前作での不満点が全体的に向上している。
成長が実感できる作者の作品と言うのは読んでいて気持ちがいい。
うーん、やっぱりこの作者には今後も注目していきたいですわ。