風の聖痕 3 月下の告白 / イラスト:納都花丸 / 富士見ファンタジア文庫


筆が遅い作者による三巻目。


煉が初恋の少女を助けるために奮闘する話。
今までヒロイン(?)役だった煉君が今回は主人公役。
ここまで大して巻数を重ねてないのに、本編でサブキャラ(主要登場人物ではあるけど)主人公話をやるとは思わなかった。
「最強クラス」の力を持つ和麻よりも、未熟で悩み多き煉の方が動かし易いのかと邪推してしまった。
ただ、話の内容はイマイチ。
散々悩んだ末に出した結論が、酷く単純でよくあるものだったので、全然胸に響くようなものが無かった。
その上、話の展開としては困難や障害を力で捻じ伏せる展開で、苦悩してた煉君や暗躍してた地の家の人達がピエロに見えてしまったよ。
煉君の成長物語としては悪くなかったと思うけど、本編としてやる話だったかには首を捻る。
まあ、不満点があっても、嫌気が指す前に読み切れてしまうリーダビリティの高さはやっぱり強みだよな、と改めて感じましたよ。