小さな国の救世主―なりゆき軍師の巻 (電撃文庫)

小さな国の救世主―なりゆき軍師の巻 (電撃文庫)


「ガンズ・ハート」以来の、鷹見さんの新シリーズ。
後書きを信用すれば三部作予定。



2ちゃん(匿名掲示板)最強。
そんなお話でした。いや、マジで


内容は、「普通になりたくない」と思っている平凡な高校生の少年が小国の内乱に巻き込まれるお話。
普通の少年が突然「集団対集団による戦闘(あえて戦争とは言わない)」に巻き込まれるという展開は、著者の代表作である無印の「時空のクロスロード」を髣髴とさせる。
しかし、今回の「時空のクロスロード」の時よりも遥かに平凡な少年である。
特に頭がいい訳でもない、運動神経がいい訳でもない、平和ボケして危機感が足りない、インターネットを通じて「世界」を知った気になっている、「青い鳥」を求めるだけで現状に対する不満が多いという、イマドキの現代っ子
無論、そんな少年が「戦い」に巻き込まれたら無力である。何も出来ない。簡単に適応できるはずが無い。
しかし、少年は決めた。
状況に酔ってるだけかもしれない、後で後悔するかもしれない、それでも「男」として、少年らしく真っ直ぐに「お姫様を守る」ことを決めた。
そして、決心した意志の元で「自分に出来ること」を考え、「自分に出来ること」を実行する。
コレは、そういう少年のお話であり、どこまでシンプルで勧善懲悪なエンターテイメント英雄譚
勿論、都合の良すぎる展開とか、死や戦争に対する恐怖心の描写が弱いところなど、弱点は色々とあるけど、細かいところを気にしないで読めば、それなりに楽しめる。
元々鷹見さんの作品って、深く考えたり、心理描写の巧みさとかを楽しむ作品じゃないしね。
既存の鷹見ファンなら安心して買える作品。
銃器や兵器は微妙にマニアックでしたので、それを許容できるならライトな作りなので鷹見本未読者にも読み易いかな。


しかし、「エスカリボルク」「萌え美少女」などの対オタク用言語が出てくる辺り鷹見さんらしいなぁ。