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アニメ化も決定して、名実共に角川ビーンズ文庫の看板作品になった感のある人気シリーズ。
ずっと積み状態だったけど、1巻を読んだらあまりの面白さに現刊行分を一気読み。
最初は単なる「馬鹿殿更生記」だと思っていたら、鮮やかに「女性官吏奮闘記」として話の軸を確立する。
彩雲国以外の国が出てこないせいで、武官の登場する機会が少なく、必然的に文官が中心の話になっている。
ややもすると軍事に比べて地味になりがちな政治や権謀術数をメインとして、実に魅力的な作品に仕上げている。
能吏の活躍する話で、ここまで痛快な小説は稀有で貴重。
更に、この小説で特に優れている点はキャラの立ち位置と使い方。
その時々の状況・立場・身分などを加味した上で、「最もそれをするに相応しい」人物が絶妙の配置されている。
主人公を助ける人、慰める人、頼る人、頼られる人など抜群の取捨選択がなされており、このバランス感覚には素晴らしいものがある。
このことが登場人物達の関係を作り上げ、個性と魅力を与えている。
「国家の行く末」を描く作品が好きな自分に取っては、間違いなく良作。
少女系レーベルということで敬遠せずに、是非手に取ってみてください。オススメ。