輝石の花 / イラスト:山基海苔 / 富士見ファンタジア文庫

輝石の花 (富士見ファンタジア文庫)

輝石の花 (富士見ファンタジア文庫)


第18回ファンタジア大賞<努力賞>受賞作品。


輝石使いの少女が幼馴染の少年と万能薬を探しに行く話。
表紙や口絵から想像するような話とは違い、割とハードな内容でした。
「黙」と呼ばれる怪物に名も無き登場人物たちが皆殺しにあうシーンがあったり、孤児院で拒絶にあったりと、全体的に陰鬱なシーンが多い。
可愛い絵柄でハードな物語というこのアンバランスさが素敵
それと、子供の少女・少年、大人になりかけの女と男のコンビを対比させるという構図が中々はまっていた。設定も素直で、登場人物の造形もナチュラルですんなり入っていきやすい。
ただし、ストーリーが余りに都合が良過ぎる
「少年」にタイムリミットがある状態で、ほとんど行き当たりばったりの少女と少年がトントン拍子に万能薬の花に至るまでの流れが、あからさまなご都合主義で結構白ける。
そして、最後のオチも「はいはい、ハッピーハッピー」と突き放したくなるような都合のいい終わり方で、ちょっと萎えた。
うーん、終わり方自体はアリだとは思うんですよ。ただ、上記してる一連のご都合主義が鼻についてしまい、終わり方までその冷めた目で見てしまう、という悪循環になってしまっている。この点は残念。
まあ、ご都合主義が鼻についたことを抜きにしても、まとまってるだけの作品と言う印象は拭えないかなぁ。
とりあえずフォローだけしとくと、雰囲気や登場人物の造形・配置などいいところが無い訳じゃなかったから、次回作に縁があれば読んでみようかね。