クラムボン殺し / 講談社ノベルス

クラムボン殺し (講談社ノベルス)

クラムボン殺し (講談社ノベルス)


中島望の10作目の本にして初のミステリ作品。


目を抉る連続殺人事件が起こる街で、住居侵入された小学校教師が探偵をボディーガードに雇ってから話。
1章を本格風に立ち上がっておきながら、2章で明らかに変な方向にすっ飛んでいくものだから、もう一度本格ミステリ展開に戻ってくる頃にはこっちの関心は萎え萎えです。
本格ミステリと見せかけて起きながら、素手で病気や怪我を治すオカルト医療や人外生物が出てきたり、中島さんらしいガチンコバトル描写が出てきたりするトンデモミステリ
「見立て殺人」というキーワードの元で起こる学校内連続殺人事件の方は、本格方面にシフトしているが、あまりのスリードの下手糞さに愕然となり、諸々の動機の妥当性の無さに辟易し、全体的な底の浅さには苦笑した。
更には真相が明らかになってからの尻すぼみな展開など、色々と見ていられなかった。
序盤の本格ミステリ的な雰囲気は嫌いじゃなかっただけに、途中からの展開にはションボリさせて頂きました。
人外生物が絡む方の事件は……こういうファンタジーがやりたいなら、それっぽいレーベルでやってください。ミステリとしての形式を採用した意味が無い。
うーん、いつもの中島作品らしい「格闘・恋愛」描写が出てくるなら、何時も通り格闘小説にしてれば良かったのに。
守備範囲が狭い作家に、見よう見まねでミステリ書かれてもグダグダになるだけといういい例でしたとさ。