DOOMSDAY―審判の夜 / 講談社ノベルス

DOOMSDAY―審判の夜 (講談社ノベルス)

DOOMSDAY―審判の夜 (講談社ノベルス)


第22回メフィスト賞受賞作。


レイプ犯が移住してくることで大騒ぎになってるアメリカのとある田舎町にエイリアンが襲来してくる話。
いわゆるサバイバル小説。「エイリアンの虐殺から生き残れるか?」というシンプルな切り口。
話の主な流れは、「凶悪なエイリアンからどのように逃げるか」であり、「エイリアンと戦う」というタイプの作品じゃない。
視点人物は次々と切り替わるんですが、エイリアンに蹂躙されていく住人達のドラマがこまめに挿入されるのが、陰惨であり、切ない。
ただ、無駄に「頭の悪い」「わがまま」な登場人物が多いのが気になったかなぁ。大分カリカチュアされた人物造形が多く、リアリティに欠けるのがちょっと残念。
ただ、主人公(?)が街の人達から蛇蝎のように嫌われている元レイプ犯で、ヒロイン的な女性が「レイプ未遂にあった女性」という構図は割かし珍しくて、面白い。
この組み合わせによって引き起こされる、悲劇的なんだけどどこか喜劇のような二人のラストシーンは落とし方として上手かったし、「エイリアンの行動の目的」が明らかにされるシーンの皮肉の効き方はも滑稽で良かった。
まあ、ストーリー自体はさしてオリジナリティとかある訳でもなく、予想を超えるような展開を見せる訳ではない。
ただ良くも悪くも、エンターテイメント系サバイバルアクションの範疇から外れない作品であり、そのジャンルとしては及第点な面白さはある。
こういった作品が好きなら買ってみて損は無いかと。
本の厚さの割には内容に深みが乏しいことは確かですけどね。