トリックスターズD / イラスト：甘塩コメコ / 電撃文庫

トリックスターズD (電撃文庫)

今、電撃でもっとも「ミステリ」を意識している魔術師ミステリシリーズの3冊目。

文化祭で、謎の閉鎖空間に閉じ込められた学生達が巻き込まれる事件の話。
「この巻から読めるように書いた」とは前書きにはありますが、コレはちゃんと1，2巻を読んでから読むべき作品。
いや、コレは中々出来のいいメタミステリでしたよ。うん、面白かった。
前作・前々作を「作中の人物が書いた小説」として登場させることで、「小説」と「現実」の境界を曖昧にして、どこまでが「事実」で何が「誤り」なのかを混乱させる構成が素晴らしい。
「閉鎖空間が作られた理由」に関しては、少し釈然としないものが残ったけど、まあ全体的にミステリファンの私にも楽しく読める作品でしたよ。

しかし、ミステリ界隈では割と見かけるけど、まさかライトノベルでここまで鮮やかな「メタフィクション」を見せてくれるとはね。この作者の本格志向は、ライトノベル畑では貴重な才能だと思いますよ。
うん、ますます次巻が楽しみなシリーズになってきた。