シャルロット・リーグ3 ワルプルギスの森で / イラスト:岸和田ロビン  / ファミ通文庫


吉岡平のミステリー小説。
2巻の後書きで書かれていたように、この巻で完結。


殺人技術を教える探偵学校で、人を殺したり死んだりするお話。
途中までは、1,2巻のようにジリジリと人が死んでいくのに、途中で一気に「数ヵ月後」のクライマックスシーンに飛んで、そこから更に「数年後」に飛ぶ
生徒が20人以上いるのに、1、2巻で3人しか死なない時点で「俺達の戦いはこれからだ!」エンドか「数ヶ月(数年)後に飛ぶ」展開のどちらかだと思っていただけに予想された終わり方の最終巻と言える。
ただ「数年後」のパートが、「生存者」に学園にいた時期の思い出を語らせることでミッシングリンクを埋めるという、珍しい構成になっているせいか、思ったより楽しかった。
無論かなりの部分が投げられているし、恋愛感情に至るまでの流れとか、ミステリとして見た場合の稚拙さとか、色々とツッコミどころや不可解なところは多い。
それでも、この作品の「設定」は好きだったし、初期タイラーからの吉岡ファンとしては嫌いになれない作品でしたよ。「読み易い文章でサラっと読める」という近年の吉岡平の長所(ある面では短所)も生きてるし。
まあ、作品単品としては高い評価は出来ないけど、個人的にはそれなりに楽しめたシリーズでしたよ。やっぱり「設定」がツボにはまるとそれだけで楽しめますよね。


あー、ちなみにこのシリーズ構成になった巻末に入ってる「シャルロット・ホームズの冒険」の短編は相変わらずつまらなかった。
元々、吉岡のオタっぷりが前面に出た楽屋落ち小説だったけど、ついには「ミステリ」としての体裁もかなぐり捨てて特撮・怪獣映画オタっぷりを発揮して暴走するだけの、なかなか酷い短編小説でしたよ。
正直、1〜3巻のこの小説はいらないから、本編の分量を増やしてほしかったです。
まあ、この短編に出てくる「初代シャルロット・ホームズ」が本編にも出てくるので、完全に無駄な代物って訳ではないんですけどね。